Cocteau Twins Fan Blog

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GARLANDS

Garlands

Garlands

曲目

原題

Garlands

  1. Blood Bitch
  2. Wax and Wane
  3. But I'm Not
  4. Blind Dumb Deaf
  5. Shallow Then Halo
  6. The Hollow Men
  7. Garlands
  8. Grail Overfloweth

John Peel Session January 1983

  1. Dear Heart
  2. Hearsay Please
  3. Blind Dumb Deaf
  4. Hazel

Bonus Tracks

  1. Speak No Evil
  2. Perhaps Some Other Aeon
拙訳

花輪

  1. 血まみれのあばずれ
  2. 満ち欠け
  3. だけど私は…
  4. 見えない、喋れない、聞こえない
  5. 月の傘の浅瀬
  6. 虚ろな人々
  7. 花輪
  8. 満ちた聖杯

ジョン・ピール・セッション

  1. 心へ
  2. 楽しい噂
  3. 見えない、喋れない、聞こえない
  4. ヘーゼル

Bonus Tracks

  1. 不吉なことは言わないで
  2. あるいは何か他の実在

解説

概要

栴檀は双葉より芳し。Cocteau Twinsの最初の作品は、1982年7月に発売されたこのアルバム。当時のメンバーはRobin Guthrie、Will HeggieとElizabeth Fraser。Robinは20歳、Lizはなんと18歳だった。また、この作品はわずか7日間でレコーディングされたという。

高校を出たばかりで、それまで無名だった3人が、わずかの日数で作成したこのアルバムは、そういう背景を言われなければ分からないほどに完成度が高い。もちろん彼らのその後の作品と比べれば粗削りなところもあるし、何よりWill Heggieがいた頃の彼らの作風はモノトーンで重苦しいイメージが強く、かなり近寄り難い雰囲気がある。しかし、この作品からして既に傑作と呼んで差し支えないことは、当時インディーズのヒットチャートの上位を長く占有していた事実が客観的な証拠となっている。

全体的には音は暗く、ノイジーで、Lizもほとんど地声で歌っているため、冬の夜中に寒い部屋で聞いてたりなんかするとこの先どうしていいのか分からなくなってしまうぐらいうちのめされる。

それでも、思い出しては何度も聴いてしまうのは、メロディの魅力だったり、強烈にノイジーなギターのせいだったり、不思議な歌詞のせいだったり、人間明るくホガラカな音楽だけではどうしても埋められない穴がぽっかり空いていると考えられるせいだったりするのかもしれない。

さらに言えば、手元にある盤はJohn Peel Sessionsとボーナストラックが入っていて、このPeel Sessionsの'Hazel'や'Hearsay Please'がまたいい作品だからということもある。これらは、"Garlands"のどこか単調なメロディとはうってかわって、スピード感があってより魅力的なメロディと飽きのこない複雑さを兼ね備えている。歌詞はさっぱり分からなくなってしまっているが。

日本コロムビア盤の解説で大鷹俊一氏も指摘しているが、この作品は彼らの音楽の原石である。独特のメロディライン、詞やタイトルの意味深長さ、Robinのギター、Lizの歌い方(声を震わせるなど)、一曲目の出だしをとにかくカッコ良くしようとすること、チープなドラム(笑)などなど。

歌詞が聞き取り易いこともこの作品の特徴の一つで、初版のLPにはLizが書き綴った歌詞の抜粋があったらしい。ネットで歌詞を読ませていただいたが、その雰囲気もやはり、後のCocteau Twinsの作品に通じるものがあると思う。純粋な歌唱力としてはこの頃のLizについてはどうかと思うところもあるが、詩人としては既に相当の域にあったのではと考えている。

各曲紹介

'Blood Bitch'

訳は大鷹俊一氏の解説から。

2003年にRobinによるリマスター盤[GAD 211 CD]が発売されたが、曲のタイトルが'Blood Bath'になっている。'Bitch'みたいなお下品な言葉は使えなくなったのかと思ったら単にデザイナーが誤植をやらかしただけらしい。

'Wax and Wane'

'wax'単独だとロウの意味もあるが、'wane'と組み合わせると月の満ち欠けを意味する。

'But I'm Not'

「だけど私は!」という呼び掛けが印象的。

'Blind Dumb Deaf'

うっかり訳すと差別語が3つ続いてしまうので「三重苦」がいいのではと思う。または歌詞の雰囲気からだと「見えない、喋れない、聞こえない」か。

こちらはリマスター盤でもタイトル変わらず。

'Shallow Then Halo'

'shallow'は浅い、浅はかな、皮相なといった意味で、複数形で浅瀬という意味になる。'halo'は確かに発音は「ヘイロウ」となるようだ。意味としては月や太陽の傘、あるいは聖像の後光、光輪。写真の用語のいわゆる「ハロ」のことでもある。

'The Hollow Men'

「ハロー・メン」。こんにちは。野郎ども!

というのは絶版の日本盤に対するツッコミ。

"The Hollow Men"はT.S.エリオットの作品、邦題『虚ろな人々』と考えるのが妥当だろう。映画『地獄の黙示録』でカーツ大佐も引用しているという(町山智浩:『<映画の見方>がわかる本』)。

'Garlands'

'Garlands evergreen'のフレーズで始まる表題曲。とても切ない。

'Grail Overfloweth'

'Overfloweth'は英語の旧約聖書ヨシュア記の第3章15節にある。

Joshua 3:15 - And as they that bare the ark were come unto Jordan, and the feet of the priests that bare the ark were dipped in the brim of the water, (for Jordan overfloweth all his banks all the time of harvest,)

新協同訳の旧約聖書によると、

 ヨルダン川に達した。春の刈り入れの時期で、ヨルダン川の水は堤を越えんばかりに満ちていたが、箱を担ぐ祭司たちの足が水際に浸ると、

口語訳によると、

 箱をかく者がヨルダンにきて、箱をかく祭司たちの足が水ぎわにひたると同時に、――ヨルダンは刈入れの間中、岸一面にあふれるのであるが、――、

堤を「越えんばかりに満ちていた」が'overfloweth'の訳に相当するようだ。

'Hazel'

意味は植物のハシバミ。ヘーゼルナッツのヘーゼル。

オフィシャルサイトの用語集によると「女性の名前でもある」とか。

'Speak No Evil'

リーダース英和辞典で調べたら'here no evil, see no evil, speak no eavil'は「見ざる 言わざる 聞かざる」だそうで。なんと身近なことわざ。

ジャケットイメージ

日本コロムビア

ジャケット。

CDの裏面。ボーナストラックがある。

日本独特の帯。保存状態が悪かったため右半分がなくなってしまっている。

ROCK RECORDS盤

CDの裏面。

リマスター盤

色が変わった。

あえて裏面も。「BLOOD BATH」の誤植がお分かりいただけるだろう。