Blue Bell Knoll
- アーティスト: Cocteau Twins
- 出版社/メーカー: 4ad / Ada
- 発売日: 2007/04/09
- メディア: CD
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曲目
原題
Blue Bell Knoll
- Blue Bell Knoll
- Athol-Brose
- Carolyn's Fingers
- For Phoebe Still A Baby
- The Itchy Glowbo Blow
- Cico Buff
- Suckling the Mender
- Spooning Good Singing Gum
- A Kissed Out Red Floatboat
- Ella Megalast Burls Forever
拙訳
ブルーベルの塚
- ブルーベルの塚
- アソルブローズ
- キャロラインの指先
- 赤ん坊のポイベに
- かゆいグロウボウの風
- チコの熱狂的なファン
- 修理人、サックリング卿
- 歌をうたうよいゴムを愛撫すること
- 口づけされた赤い浮船
- エラの特大の毛糸のからまりよ永遠に
解説
概要
1988年9月に発売されたアルバム第5作目。
メンバーは"Treasure"と同じくいつもの3人。
自分としては、最初に購入したCTの作品。1989年のことで、当時の最新作のCDだった。年代的に本作からはLPとCDが同時リリースとなっていた。
それまでレンタルで聞いていた"Treasure"や"Tiny Dynamine / Echoes In a Shallow Bay"に比べて、親しみやすい音作りになっていて、それでいてこれらの中で特にかっこいい音でもあり、一度聞いただけでかなり気に入ってしまった。
それまでバンドのことを何か偏屈な集団のように思っていたのだが、本作がいい意味でオタクっぽい作りで、中川五郎氏によるよくできたライナーの影響もあり、バンドのイメージが大きく変わった。
音作りとしては、本作からシーケンサーが使われている。1曲目で「八分音符でアルペジオとはまた…」などと考えてみて、ふと打ち込みであることに気がついた。
しかしPCが十分普及していない時代にMIDIの編集はどうやってやっていたのか、音楽に詳しくない自分はなかなか想像し難いものがある。
演奏の方では、ギターの音がかなり多様になっていてすごい。
ヴォーカルの進歩も感じられる。そして歌詞はほとんど聞き取れない。このアルバムについては、タイトルも意味がよく分からないものが多い。
ベースはいつものように独特のメロディがある。そしてキーボードが時々地味に入っている。
クレジットがあっさりしたものになってしまって、
written and produced by cocteau twins
photography, jurgen teller, sleeve paul west and jeremy tiloston
これだけ。録音スタジオとかエンジニアとかの情報がなくなってしまった。ゲストの演奏者もいないらしい。
各曲紹介
'Blue Bell Knoll'
bluebellは花の名前。辞書を引くとツリガネスイセンと出てくることがあるが、もっと知られた名前は園芸用の花であるシラー。秋植えの球根として9月頃からホームセンターなどで入手できる。最初の年はあまり手間をかけなくてもきれいな花が咲くので栽培はお勧め(多年草なので施肥など十分な世話をすれば何年も鑑賞できる)。
オフィシャルサイトの用語集にはもう少しつっこんだ解説がある。「Blue Bell Knollは、もし人がブルーベルの塚(の音)を聞くことがあるなら、死が近づいているという、古い伝説を参照しているようだ。」(拙訳)。そんな伝説があるなんて。
ブルーベル/シラーに関しては、ロンドンの西の方の森に沢山自生している名所がある。
もしかしたらこの場所が曲でイメージされているのかもしれない。
現地を訪れた方から写真などをいただいたので、それはまたエントリーを改めて紹介したい。
独特のイントロは曲の最後まで続いていて、つまり曲全体にシーケンサーの打ち込みの音が使われている。
鳩山郁子さんの漫画、『月にひらく襟』に「Bulue bell knoll」という作品が収録されているという。
- 作者: 鳩山郁子
- 出版社/メーカー: 青林工芸舎
- 発売日: 2001/05
- メディア: コミック
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東京のワンルームマンションで「ブルーベルノール」というのが2001年5月に竣工した。
魅力的な言葉なので、他にも探すと何か出てくるかもしれない。
'Athol-Brose'
オフィシャルサイトの用語集によると「オートミールと蜂蜜とウイスキーでできたスコットランドの粥(porridgeは多分porrige)。恐らくエソルの町に起源がある」とのこと。
リーダーズ英和辞典を引いたら「アソルブローズ 《ウイスキーに蜂蜜やオートミールを混ぜた飲料》」とあった。
Atholは「スコットランドTayside州の山岳地帯」と出ている。
「アソルブローズ」の表記がいいのかはちょっと疑問。地名のカナ書きにあるように、Atholはスコットランドでは「エソル」になるらしい(ご指摘感謝)。ので、地元だとエソル・ブロスなのかも。またはエソル・ブラズ? 日本語として定着してる言葉でないのでカタカナ標記そのものが無理がありそう。
wikipediaにレシピが出ている。
画像検索すると調理したものが出てくるが、食べ物といより飲み物っぽい。
ウイスキーの銘柄にも「ATHOLL BROSE」というのがあるのが分かる。
シーケンサーが使われている。全体にひょうひょうとした曲。
日本では1991年に三菱自動車のエメロードのCMでこの曲に使われ,このためこれを表題とするシングルが発売された。
'Carolyn's Fingers'
ジャケットの写真は指先が写っているが、この曲に由来するのだろうか。
キャロラインさんが誰かは分からない。
1990年のル・マン24時間の中継で、「川島なおみinル・マン」というちょっとした影像が流れ、そのBGMにこの曲が使われた。
他にも放送で使われたことがあるだろうけれどさすがに全部は把握できず。
サビの部分のギターを聞いていると、"遊ぶ前にも遊んだあともハウスフルーチェやってミルク"(西田ひかる)と聞こえてくる。
'For Phoebe Still A Baby'
癒し系の曲。キーボードが優しい感じで入っている。
'The Itchy Glowbo Blow'
この曲がいちばんタイトルの意味が分からない。
けっこうシリアスな曲。中盤でアルバムの雰囲気を引き締めている。
「ウイィィィィン」といった具合で入ってくる音が雰囲気いい。
シリアスな曲だけど最後の方でギターが多数重ねられつつ明るい感じに終わる。
'Cico Buff'
癒し系の曲。
buffは「もみ革」、いわゆるバフ掛けのバフという意味と、○○狂とか○○通とかの意味がある。Cicoが人の名前だとすると後者のほうかな、という感じがする。
ただし有名なチコ・ブラーエの綴りは'Tyco Braha'。
'Suckling the Mender'
タイトルはイギリスの宮廷詩人、John Suckling卿のことらしい。
なぜ彼がmender(修理人とか)とされているのかは不明。
穏やかな曲で、打楽器がパーカッションになっている。
'Spooning Good Singing Gum'
どうにも意味不明のタイトル。
この曲も打楽器にパーカッションが使われている。他に拍手っぽい音も使われている。いずれにしてもリズムマシーン。
ここでも優しい感じでキーボードが使われている。
'A Kissed Out Red Floatboat'
なんだかロマンチックなタイトル。Lizの裏声が響き渡る素敵な曲。
音はシーケンサーが使われている。キーボードも入る。ピアノの音も聞こえるような気がするがベースがそう聞こえるだけかもしれない。
'Ella Megalast Burls Forever'
EllaはEleanorやIsabellaなどの女性の名前の愛称。
burlを「毛糸のからまり」と考えざるを得なかったのだが、それが永遠にだとか、この曲もタイトルに意味がよく分からない。
ゆったりとした曲。スケール感が大きく、アルバムの最後を飾るのにふさわしい。