Cocteau Twins Fan Blog

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SWEET GLOW OF SILENCE

スウィート・グロウ・オブ・サイレンス

スウィート・グロウ・オブ・サイレンス

Cocteau Twinsの日本人サポートメンバー、タテミツヲのソロプロジェクト、FLat 7。前作"lost in blue"から7年ぶりに新作が発表された。タイトルは"SWEET GLOW OF SILENCE"。

CDの販売元はソニーミュージック。CDはBlue-Spec CD2という高度な技術で製造されている。Blu-Ray製造技術を応用して信号を記録するビットの形状の精度を向上させたとのことで、信号読み取りエラーの低減が期待される。

逆に言うとデジタル信号を誤り無く読めるデバイスなら普通のCDとの違いは出ないはずだが、それはそれとして、丁寧に作られていることに作り手側の誠意が感じられる。

アートワークはCocteau Twinsの作品を多く手がけてきた23 EnvelopeのVaughan Oliverによるもの。「蜘蛛の巣につかまったハエ」が、そのモチーフからは想像もできないほど甘く黄金色に輝いて、作品のイメージを現している。

楽曲はもちろんタテ氏の作によるが、ライナーによると最も古いものは1991年に書かれたといい、Coceteau Twins時代にSeptember Soundの機材で録音された音が本作でついに日の目を見たことになる。その他今まで眠っていた曲を掘り起こしてアルバムに仕上げたという。20年を軽く超える時の流れの中で熟成された、珠玉のウイスキーに例えることができよう。

'ORION'は聞いたことがあると思ったら前作"lost in blue"にもある曲で、そのときは間に合わなかったKevin Shieldsの演奏が入っている。

表題曲の'SWEEET GLOW OF SILENCE'は本アルバムのための書き下ろしで最も新しい。

演奏はタテ氏によるものがメインとなるが、Robin Guthrie、前述のKevin Shields、Steve Monti、Roddy Frame、そしてYu-RaのRicoが参加している。

ヴォーカルは宮本一粋とAnnie Barkerの二人で、いずれも英語で歌っている。

聴いてみた率直な感想は、すごくいい(小並感)。いやじっさい、いい曲ばかり。そしてもちろん、Cocteau Twinsとは違った世界を展開している。CTの曲にはいくらか人を不安にさせる要素も見られるが、FLat 7のアルバムはそういった陰の面があまり表に出てこない。癒し系と一言で済ませてしまうのは抵抗あるが。

とはいえ、Annie Barkerが歌う曲にはいくつかCocteau Twinsを彷彿とさせるものがある。ギターにRobin Guthrieが参加していることもあるけれど、一番大きいのはAnnie BarkerがLizっぽく歌っていることにある。地声があまり似ていないのと、メロディの雰囲気がやはりCTと違うので、そっくり同じ! というふうにはなっていないけれど。しかしそれでも、とても懐かしい心地よさを感じた。

さて、このアルバムはiTunesやmoraでネット配信されているが、やはりCDの購入をお薦めしたい。Blue-Spec CD2であること、デジパックの全面に施されたアートワークを手にとって鑑賞できること、そして黒田隆憲氏の詳細なライナーがついていることによる。

世界で活躍しているとはいえ、主に裏の方で仕事をすることが多いタテ氏については、このネット全盛の時代にもなかなか詳しく知ることができない。本作のライナーは彼に関して多くの情報を提供してくれている。現代に生きる会津のサムライについて知りたい方はぜひ目を通していただきたい。