Lush:Spooky
- アーティスト: Lush
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1992/02/04
- メディア: CD
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曲目
Spooky
- Stray
- Nothing Natural
- Tiny Smiles
- Covert
- Ocean
- For Love
- Superblast!
- Untogether
- Fantasy
- Take
- Laura
- Monochrome
- Falling in Love
- God's Gift
解説
1992年1月にリリースされたLush初のアルバム。
日本盤は日本コロムビアから発売。ボーナストラック(#13, #14)が収録され、伊藤英嗣氏のライナーと歌詞、対訳がついている(ボーナストラックの分はなし)。
日本盤の追加分2曲は、日本盤未発売の先行EP、"Black Spring"の収録曲。
ライナーはやはり、Lushのフロント2人が女性であることから、前半は女性のバンドとは、といった内容でやや広い話が書いてある。
それからバンドの成り立ちについて少し。MikiとEmmaが14歳からの知り合いとある。大学でバンド結成、4ADと契約、といった話に続いて、Robin Guthrieが多忙のため最初のレコードにはかかわれず、"Sweetness And Light"がRobin Guthrieプロデュースとなった等が書かれている。
そして、本アルバムもまたRobin Guthrieのプロデュース。
音はやはり、Cocteau Twinsに似ているところがある。しかし、別のものというのはすぐ分かる。比較的シンプルに音階を重ねていくメロディーはなによりLushらしく、ギターの重厚さも独特。ベースはCocteau TwinsのSimon Raymondeがきわだって個性的だからこれがないというのも相当の違いになる。
このアルバムは当時かなりのヒットになって、ツアーは日本にも来て、幸い自分も川崎の公演を見ることができ、猛烈な熱気を生で感じることができた(人が人の上をぐるぐる回ってた!)。
参考にwikpediaを見てみたら2016年にシューゲイザーアルバムベスト50の中で27位とある。ほぼ四半世紀過ぎても褪せない作品。
https://en.wikipedia.org/wiki/Spooky_(album)
中でも'Superblast!'はLushの代表曲とも言えるもので、ステージで彼女らからこのタイトルが発せられると会場は歓声が沸いた。
男女同権の時代などというのは今更言うことでもないが、スイスで女性に参政権が認められたのは戦後もかなり過ぎた1971年からで、やはり男女の格差というのは最近でも容易ならざるものではある(スイスはスイスで独自の事情があり、他国がどうこう言うものでもないが)。
ロックバンドもやはり男のものというイメージは90年代あたりでも根強かったと思う。ライナーの前半が女性バンドとは、といった話になるのもやむをえないが、伊藤氏の言う女性を超えて自分を主張しだした、「別に女性の特質を否定することではない。女性であることはそのまま自然に受け入れて、その上で権利や人格等、主張すべきことは全て主張する」ということが、やはりLushの登場時期ぐらいから色々な場面で普通になってきたようだ。
自分のなじみ深いアニメの世界でロックバンドが目立ってきたときは2000年台もどっぷりなので、むしろ女性がステージに立つ姿がアニオタたちをロックの世界に引き込んで行った部分が多いのではないかと思う。
特に『涼宮ハルヒの憂鬱』のライブシーンは伝説的。
続いて同じ京都アニメーションが女子高生のバンド活動を描いた『けいおん!』が2009年に放送されて大ブームになる。映画はロンドンに旅行しているから英国リスペクトは半端ではない。
そして今や、声優がアーティストを「演じる」のではなく、バンドそのものを結成し、それがメディアミックス展開される時代となっている。
まあテレビアニメそのものは思いが突っ走っていろいろかみ合ってないとかそもそも予算ちょっと少なくないかとか思うところはあるにはあるが、ライブステージに客が沢山来て曲も売れればおそらくこのプロジェクトは十分に成功だと思う。
だいぶ脱線したが、やはり本作がLushの代表的なアルバムであることは、多くの方に賛同いただけると思う。
Lush:Gala
- アーティスト: ラッシュ
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 1990/11/21
- メディア: CD
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曲目
Gala
- Sweetness And Light
- Sunbathing
- Breeze
- De-Luxe
- Leaves Me Cold
- Downer
- Thoughtforms
- Baby Talk
- Thoughtforms
- Scarlet
- Bitter
- Second Sight
- Etheriel
- Hey Hey Helen
- Scarlet
解説
1990年に4ADから発売されたコンピレーションアルバム。
USと日本向けにシングル収録曲等を集めたもの。日本盤は日本コロムビアから発売。久保憲二氏の1990年10月付のライナーと歌詞が付属している(#5, 6, 10の歌詞は入手できなかったとのこと)。
1990年までにリリースしたレコードから13曲と未収録の2曲からなる15曲。
デビュー作"Scar"は#8〜13。1990年のEP、"Mad Love"は#4〜7。1990年のシングル"Sweetness And Light"は#1〜3。
14曲目の'Hey Hey Helen'はABBAのカバー。15曲目のScarletは10曲目の別バージョン。
"Mad Love"はRobin Guthrieによるプロデュース。14、15曲目もRobin Guthrieの手によるもので、BBCのJohn Peel Sessionのために録音されたもの。
1990年なのでメンバーはMiki Berenyi、Emma Anderson、Chris Acland、Steve Ripponの4人。
ライナーはくだけた調子で書いてあるが、バンドや曲の紹介をきっちりやっていてとてもいい資料になっている。ChrisとSteveが素人だったMikiとEmaを鍛え上げたとのこと。女性2人の存在感が際立っているがこれも男2人が陰で支えていればこそ。とはいえ曲は基本的にMikiとEmmaが書いているので、演奏ともどもその才能を評価している。
久保氏によるとMikiは「江戸っ子の血が流れている」、Emmaは「知的な人」という印象とのこと。曲を聴く以外で二人のことをあまり知る機会がないけれど、なるほどなとちょっと同意。特にEmmaの知的な雰囲気は後のSing-Singの作品でも感じ取ることができる。
洋曲のライナーはけっこう適当なものもあるけどこのライナーは当たり。
ヨナカジカル
半年以上更新なくてすみません。Lushについては手持ちのCDを出して書いてあることを読めばネタはすぐ投入できるので、関連投稿はもうしばらくお待ちください。
相変わらず音楽の勉強はしないでアニメを見まくっている自分ですが(あとpixivに絵を投稿していたりしてこちらがおろそかになっているわけですが…)、季節ごとに20本くらい見ている新作アニメの中から、今年の秋はここで紹介したい、というものがあるのでエントリー書きました。
くろば・U原作、『ステラのまほう』。
これのED曲、「ヨナカジカル」がとてもオルタナティブです。
作曲はここのか氏。メジャー作品はこの曲が初のようで、これまではもっぱらニコニコ動画の投稿やライブ活動を行っていたようです。
ボーカロイドのオリジナル曲はこちら。
http://www.nicovideo.jp/user/6908547/video
ED曲はPVが配信されるとかはないようなので、無料で見られるアニメ1話のリンクを以下に。後ろの方までスキップすればEDが聞けます(もちろん本編を一通り見ていただけるともっとうれしい)。
萌え4コマアニメの声優が歌うアニソンかと油断していたら、サビの高音に脳を直撃されました。
アニメ本編は「同人ゲームを作る部活の話」という説明がなされていますが、<アマチュアが創作をする>ということに鋭く切り込んでいて、ずっしりとした見ごたえがあります。
「ヨナカジカル」はシングルは出ませんがサウンドトラックにフルサイズで収録されるようです。また、サントラ発売に先駆けてネット配信されています(ハイレゾ版あり)。
いつもはアニソンは季節ごとに放送が終わってから気に入ったものをまとめて購入するのですが、この曲は放送中に購入しました。
- アーティスト: 倖山リオ,kidlit 桑原まこ,黒木人生,R・O・N
- 出版社/メーカー: FlyingDog
- 発売日: 2016/12/21
- メディア: CD
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Lush
Lushは1988年に結成された英国のバンド。1989年に4ADからメジャーデビューし、90年代前半にシューゲイザーの代表的なバンドの一つとして活躍する。
赤い髪の日系ハーフのMiki、黒髪の英国人Emmaの2人の女性がフロントに立つ、「萌え」とかいう言葉が普及する前でもかなりインパクトのあるバンドだった。シンプルなメロディーと重厚な音は覚えやすく、バンド名もすぐ頭に入った。
メンバーは結成時にはMiki Berenyi、Emma Anderson、Chris Acland、Steve Rippon、Meriel Barhamの5人で、結成時のバンド名はThe Baby Machinesだった。その後Emmaの友人のKevin PicheringがLushと命名したとのこと。
初ライブの後にMeriel Barhamが脱退、彼はPail Seintsに加わった(こちらも4AD所属のバンド)。ヴォーカルがMikiにチェンジ。
4AD契約時のメンバーは下記4人。
- Miki Berenyi(ミキ・ベレーニ、ヴォーカル+ギター)
- Emma Anderson(エマ・アンダーソン、ヴォーカル+ギター)
- Chris Acland(クリス・アクランド、ドラム)
- Steve Rippon(スティーヴ・リッポン、ベース)
1989年にミニアルバム"Scar"でメジャーデビュー。次のシングル、"Mad Love"はRobin Guthrieによってプロデュースされた。
1991年にSteve Ripponが脱退、ベースにPhil King(フィル・キング)が加わる。
1992年のファーストアルバム、"Spooky"をRobin Guthrieがプロデュース。
その後1994年に"Split"、1996年に"Lovelife"とアルバムをリリース。これらはCocteau Twinsの関与はない。
この時期はライブも活発に行っていて、日本にも来ている。手元に1992年12月5日のクラブチッタ川崎のチケットがある。
1996年、アルバム"Lovelife"が素晴らしいもので、また来日の情報などはないだろうかと、オフィシャルサイトのブックマークをクリックした。ブラウザが真っ黒になって何事かと思った。よく読むと、そこにChris Aclandの訃報が掲載されていた。
以後バンドの活動は休眠状態となり、やがて解散してしまった。
それからのメンバーは、EmmaはLisa O'NeilとSing-Singというバンドを結成。PhilはThe Jesus and Mary Chainというバンドに加入。Mikiはほとんど情報がなかったが、2000年にタテミツヲ氏の'Smile'という曲のヴォーカルを担当して久しぶりに声を聞くことができた。
それから幾年月。
LUSHといえばすっかり石鹸というイメージが定着してしまった今日。
検索してみたらwikipediaに日本語の項目がある。
そこから英語に飛んで、そのリンク先へ行って驚いた。
Lushは現在も活動中。
ライブをけっこう積極的に行っているようだ。
現在のメンバーは3人。そしてChrisは皆の心の中に。
- Miki Berenyi
- Emma Anderson
- Phil King
90年代は若かった彼らも写真を見ると歳相応の風貌になっている。Mikiは2000年までは髪の毛が赤かったことが確認されているが、さすがに今は黒。
Lushの消息が確認できたので、しばらく止まっていた当ブログだが、しばらくLushの記事を書くことにする。
- アーティスト: Lush
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1996/03/05
- メディア: CD
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Massive Attack : Mezzanine
曲目
- Angel
- Risingson
- Teardrop
- Inertia Creeps
- Exchanbge
- Dissolved Girl
- Man Next Door
- Black Milk
- Mezzanine
- Group Four
- (Exchange)
- Superpredators(TGhe Madprofessor Remix)
解説
ブリストルの音楽ユニット、マッシヴ・アタックの3枚目のアルバム。1998年発表。
Elizabeth Fraserがボーカルとして'Teardrop'、'Black Milk'、'Group Four'の3曲に参加している。
Cocteau Twinsとは相当イメージが違う作品。とはいえ、切ない歌声はやはりElizabethならではのもの。多重録音なしでも十分聞く者の心を揺さぶる歌唱力はさすが。
'Teardrop'は荒廃したような曲に淡々とした歌声が乗ってしんみりしてくる曲。
'Black Milk'はベースと静かなヴォーカルがよく合う曲。
'Group Four'は男性ヴォーカルと絡むように入ってくる妖艶な歌声。Massive Attackのバンドの標準的な曲かと思う。
なんだかんだいって、Massive Attackのアルバムは"Blue Lines"、"Protection"、"No Protection"とこの"Mezzanine"の4枚を購入してしまった。
ネットではiTuensでもMoraでも購入可能。iTunes情報では一番人気は'Teadrop'らしい。
This Love
- アーティスト: Craig Armstrong
- 出版社/メーカー: EMI Import
- 発売日: 1997/12/22
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曲目
The Space Between Us
- Weather Storm
- This Love
- Sly II
- After The Storm
- Laura's Theme
- My Father
- Balcony Scnene (Romeo & Juliet)
- Rise
- Glasgow
- Let's Go Out Tonight
- Childhood
- Hymn
解説
"The Space Between Us"は映画音楽の作曲家として知られるCraig Armstrong/クレイグ・アームストロングが1997年にリリースした最初のソロアルバム。
2曲目の'This Love'はヴォーカル曲で、Elizbeth Fraserが歌っている。
Cocteau Twins後のElizbeth Fraserの曲では、おそらく屈指の名曲。「神曲」と評してもよいと確信している。
Cocteau Twinsがバンドとして存続が難くなっていたとき、Lizはブリストルの方のアーティストと関係を密にしていた。その成果の一つがこの曲。
この曲の完成度の高さは、多分にCraig Armstrong氏の作曲と編曲の才能によるところが大きい。そしてもちろん、Lizのヴォーカルもまた素晴らしい。
クレジットには[Written by Armstrong]としかないので、推測だが、歌詞はCraig Armstrongの作ではないかと思う。日本盤に歌詞カードがついているが、Cocteau Twinsのほかの曲に比べて歌詞がシンプルでストレートすぎるのがその理由。
'This love is a strange love'というフレーズは、映画『博士の異常な愛情』を連想させる。キューブリックの映画リスペクトは映画音楽を主な仕事とするArmstrong氏の発想と考えると無理がない。
以降は個人的な話だが、2000年あたりに月1で福岡まで行っていたことがある。空港から目的地までの地下鉄で、学生らしい若い女性がCDを聞いていた。そして、まさにこのアルバムを取り出して、CDプレーヤーにセットするところを目撃した。どうという話ではないが、それぐらいにこのアルバムは人気だったのだなあという話。
'This Love'だけでなく、他の曲もレベルが高いです。
ジャケットイメージ
Felt:Ignite The Seven Cannons
- アーティスト: フェルト,FELT
- 出版社/メーカー: DISK UNION
- 発売日: 2014/02/26
- メディア: CD
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曲目
Ignite The Seven Cannons
- My Darkest Light Will Shine
- The Day the Rain Came Down
- Scarlet Servants
- I Don't Know Which Way to Turn
- Primitive Painters
- Textile Ranch
- Black Ship in the Harbour
- Elegance of an Only Dream
- Serpent Shade
- Caspian See
- Southern State Tapestry
解説
Feltは1979年から10年ほど存続したイギリスのオルタナティブ・ロックのバンド。
1985年にリリースされた、"Ignite The Seven Cannons"(『カスピの詩人』)は4枚目のアルバム。
このときのメンバーはギターとヴォーカルがLaurance。リードギターがMaurice Deebank。ベースがMarco Thomas、キーボードとバックコーラスがMartin Duffy。ドラムがGray Ainge。
このアルバムはRobin Guthrieがプロデュースしていて、5曲目の'Primitive Painters'にElizabeth Fraserがヴォーカルで参加している。
'Primitive Painters'はシングルが先行してリリースされ、英国のインディーズチャートで4位になった。
全体の音作りは確かにRobin Guthrieらしい雰囲気がある。'Primitive Painters'は軽快な曲で、人気が出たのも分かる。
アルバム全体は、ちょっと上級者向けかも、というのが正直な感想。演奏はすごくいい。インスト曲はどれも素晴らしい。これに対しヴォーカルがきわだって個性的で、この人の独特の歌い方に慣れないとちょと戸惑う。
歌い方のほか、歌詞もかなり強烈らしいが、多くの日本人はおそらく(もちろん自分も)歌詞をほとんど聞き取れないと思われ、それもこのアルバムをやや近寄りがたくしている。
でも日本盤のCDがまだ手に入るようだから、根強い人気があるようだ。